キャリアコンサルタント国家試験(キャリアコンサルティング協議会)に向けた学習と受験を終え、これまでどのような対策を行い、どこでつまずき、何を修正してきたのかを、備忘録として残しておきたいと思う。

これは合格体験記ではない。
むしろ、試験という制約の中で、キャリアコンサルティングをどう捉え直したかの記録である。

1.論述試験対策
 ―「知っていること」を「書けること」に変える

論述試験対策として、過去問(第25回~第29回)を3回繰り返し解いた。
すべて鉛筆を使い、本番同様に制限時間を意識して取り組んだ。

この段階で強く感じたのは、知識があっても、構造を持っていなければ書けないということだった。

論述では、独自性よりも一貫性と再現性が問われている。
そこで意識したのは、「毎回同じ骨組みで書く」ことだった。

・設問1(事例記録の相談概要)では、
 相談者の〈現状〉〈感情(不安・葛藤)〉〈目的〉〈相談内容〉を、
 評価を入れずに整理する。

・設問2(キャリコン応答の意図)では、
 応答を「受容」「気づき」「次の語りを引き出す」という意図に分解する。

・設問3(CCが考える相談者の問題とその根拠)では、
 問題と根拠を必ずセットで示し、推測ではなく発言に基づいて書く。

・設問4(今後の面談の方針)では、
 関係構築から自己決定までのプロセスを段階的に示す。

この型を繰り返すことで、
「何を書こうか」ではなく、「どこに当てはめるか」を考える状態に近づいていった。

結果として、論述は暗記ではなく、思考の整理訓練そのものになっていたように思う。

2.ロールプレイ対策
 ―「うまくやる」より「一緒に考える」

ロールプレイ対策では、技法よりも姿勢を整えることに重きを置いた。

特に意識したのは、ロールプレイと口頭試問を必ずセットで行うことだった。

直後の口頭試問は、自分の思考がどこに向いていたかを如実に映し出す。
その負荷に耐えるため、「関係構築」「問題把握」「(可能であれば)方策」という振り返りの観点をあらかじめ決めておいた。

また、ロールプレイそのものでは、
・関係構築を急がない
・不安や葛藤の言葉に留まる
・「なぜ」を重ねず、一緒に考える
・沈黙を埋めない
・方策はクライエントの自己決定を最優先する
といった点を繰り返し意識した。

ここで大きかったのは、「導こうとするほど、対話は浅くなる」という実感だった。

方策が出ない時間、沈黙が続く時間、彷徨っている感覚そのものが、実はクライエントの内省と重なっていることも多い。

それを急がせないことが、結果的に面談全体の深まりにつながっていく。

3.1回目の失敗
 ―技法ではなく「構え」の問題だった

1回目の実技試験を振り返ると、最大の失敗要因は技法不足ではなかった。

・型に過度に依存していた
・正解通りにやろうとし、自分らしさを抑えていた
・感情の起伏が少ない相談者との関係構築で、深めるきっかけを掴めず、浅い関係のまま展開してしまった
・途中で時間管理を見失ってしまった
 (結果として時間が余る)

これらはすべて、これまで勉強してきたことを集大成として表現しようとする、いわば「発表会に臨むような気持ち」から生まれていたように思う。

再受験に向けて行った最大の修正は、新しいスキルを身につけることではなく、「普通に相談を受け入れる」という姿勢だった。

・型は持つが、縛られない
・時間は意識するが、追われない
・沈黙や迷いを受け入れ、一緒に迷う

そうした考え方や意識の調整が、2回目の「自然なコンサルティング感覚」につながった。

4.全体を通して見えてきたこと

論述対策、ロールプレイ対策、そして1回目の失敗は、別々の話ではなく、すべて同じ方向を向いていた。それは、正解を出そうとする姿勢から、対話に身を委ねる姿勢への移行だったように思う。
資格取得は一区切りではあるが、ここはあくまでスタート地点である。
この備忘録が、今後迷ったときに立ち返る原点として、静かに役立ってくれればと思っています。

文:caritabito