7月に受験したキャリアコンサルタント国家試験の結果が発表された。
結果は――学科合格、実技不合格。
学科は通った。これは大きな励みであり、これまで積み重ねた知識が確かに身についている証拠でもある。
だが実技は、本番のロールプレイで力を発揮できなかった。今回は、その日の出来事と面接の振り返りをまとめておきたい。
朝から続いた不運
試験当日は朝から波乱含みだった。
自宅最寄り駅から岡山駅へ向かう路線で、踏切での自動車脱輪事故が発生し、なんと1時間も止まってしまったのだ。ホームで待つ間、暑さと情報不足にイライラは募るばかり。体力も気力も、じわじわ削られていった。
ようやく岡山駅から新幹線に乗り換えて大阪へ着いても、会場のビルがなかなか見つからない。炎天下で汗をかきながら探し回り、ようやく辿り着いた時には、すでに消耗していた。
早めに到着したものの、落ち着いて待機できる場所はなく、人通りの多い1階の簡易な椅子で時間をつぶす。集中どころではなかった。
会場内も移動が多かった。オリエンテーションの部屋、面接前の待機室、そして面接室――三か所を移動。気持ちのリズムはますます乱れていった。
ロールプレイの記憶
オリエンテーションの最後にCL役の方が現れ、一緒に面接前の待機室へ移動した。
そこで渡されたケースシートには、離婚後に中学3年生の娘さんと高齢のお母様と暮らす女性という概要だけが書かれていた。相談の詳細は一切触れられていなかった。
ロールプレイが始まると、CL役は淡々と語りながら、少しずつ背景を明かしていった。
生活のためにパートを2つ掛け持ちしていること。うち1つは食品工場の製造ラインで、過去に正社員への打診を受けたが、当時は娘さんの送り迎えのために断ったこと。
その経験があるため、今になって正社員を願い出ることに抵抗を感じていること。
さらに、娘さんが体操に打ち込み、強豪私立高校への進学を希望していることも明らかになった。私の頭の中には、入学金や学費、そして進学後の遠征費などの費用面の心配が次々と浮かぶ。
本来なら、シングルマザーとしてパートを2つ掛け持ちで続ける「大変さ・つらさ」――疲労感、両立の重圧、周囲への遠慮や罪悪感、そしてそれでも支えたいという思い――その感情に丁寧に寄り添い、言葉にしてもらう時間が必要だった。
ところが私は、CL役が感情をあまり表に出さず淡々としていたこともあり、沈黙に耐えきれず、つい質問を急いでしまった。
「働く時間帯はどうですか」「どんな職種を考えていますか」といった状況確認に終始し、『なぜ正社員を言い出しにくいのか』という感情や、シングルマザーとして積み重ねてきた負荷に十分に触れられなかった。
さらに追い打ちをかけたのが、机の上の針式の卓上時計だった。
開始時刻を見失い、残り時間が分からなくなる不安に駆られて焦りが増大。沈黙を聴く余裕を手放し、経済面の話へと自分から舵を切ってしまった。娘さんの進路と費用の不安が頭を離れず、結果として経済面にフォーカスを当てすぎる展開になった。
そして、時間を余らせた焦りから、「どうすればよいか一緒に考えましょう」と踏み込んだ提案までしてしまった。
これはキャリアコンサルタントの守備範囲を超える内容であり、本来は福祉や生活支援の専門機関へのリファーを検討すべき領域だ。
つまり私は、時間が余ったことでかえって不必要な話を持ち出し、なおさら墓穴を掘ったかっこうになってしまった。
口頭試問でも「今後の対応」として同様に答えてしまい、後から「あ、これは不適切だった」と気づいた。焦りと緊張の中で判断を誤ったことも、大きな反省点である。
今思う敗因
なぜこういうことになったのか。振り返れば、敗因ははっきりしている。
殻をかぶったように淡々と語るCLに対し、感情を拾い上げることに苦戦し、黙って待つ姿勢を発揮できなかった。
そこへ卓上時計への不安が重なって時間感覚を失い、沈黙に寄り添う力を手放した。
その結果、関係構築は浅くなり、表面的なやりとり(特に経済面への偏り)に流れてしまった。
振り返って思うこと
こうして冷静に振り返れば、環境要因と自分の焦りが重なり、実力を発揮できなかったことは明らかだ。
けれども、それもまた一つの経験である。
学科に合格したことで、次回は免除となり、実技一本に集中できる。
今度こそ、時計に翻弄されず、淡々と語るCLの沈黙にも居続けられる自分でありたい。感情に寄り添い、守備範囲を意識しながら、必要に応じてリファーを検討する――その基礎に立ち返って準備をしていく。
この年齢になっても、まだまだ感性が揺れ動くのは、悪いことではない。むしろ、キャリアコンサルタントに必要な「人間味」だと信じたい。
挑戦は続く。次回は必ず突破して、この日の出来事を「笑い話」に変えてみせる。
読者へのひとこと
同じようにキャリコン資格に挑戦されている方や、学びの途中にいる方にとって、今回の記録が少しでも参考になれば嬉しいです。
試験は一人で挑むように見えても、実は多くの仲間や支えがあって歩んでいる道。これからも、その歩みを一緒に続けていけたらと思います。
文:caritabito