萩八景の遊覧船観光を終えた私たちは、西へ向けて車を走らせた。海沿いの道を進みながら、次の目的地「元乃隅神社」へと向かう。

近年ではアメリカCNNが「日本の最も美しい場所31選」として紹介し、国内外の観光客が訪れる人気スポットとなったこの神社は、日本海に面した急な斜面に、赤い鳥居が海へ向かって連なることで知られている。

神社に近づくにつれ、道幅は狭くなり、車のすれ違いにも気を遣う。それでも頂上付近には整備された駐車場があり、観光地としての機能は十分だった。

神社は小高い山の斜面にあり、大きな鳥居がそびえているが、そちらとは反対側の斜面が海に向かうスロープになっている。眼下に赤い鳥居の列が現れる。123基の鳥居は直線ではなく、途中で左に折れ、くねくねと海へ向かって続いている。その流れるような曲線の美しさに、思わず息を呑んだ。

鳥居をくぐって坂を下り、最後の一基を抜けると、黒々とした岩場が広がる。かつての溶岩が固まってできたのかもしれない。その岩の先端まで行くと、視界は一気に開け、日本海の青が胸に飛び込んでくる。

風に吹かれながら、ふと振り返ったとき、私はその景色に心を奪われた。赤い鳥居が、斜面をくねくねと這い、空へ向かって立ち上がっていた。その姿はまるで――天に昇る龍の背。

祈りの道が、自然と交差しながら空へと伸びていくようで、しばし言葉を失った。

元乃隅神社をあとにし、再び車を走らせる。山を越え、岬を回りながら進んだ先で、次なる風景が目の前に広がった。

それが「角島大橋」だった。

長さ1,780メートル。まっすぐではなく、なだらかな弧を描きながら海の上を進むその橋は、どこまでも澄んだコバルトブルーの海に浮かぶように伸びていた。橋の手前にある展望台には、多くの観光客がカメラを構え、風景を切り取っていた。

夏の日差しを受け、海面は光を反射してキラキラと輝く。水中には、砕けた貝殻から成る白い砂が広がり、そのために海は、エメラルドグリーンから紺碧へと、光の角度でさまざまな色合いを見せていた。

海上では、水上スキーを楽しむ若者たちの姿も見える。まるでこの風景が祝祭の舞台のように感じられる。

そのとき私は思った。
この橋の姿はまるで――海を舞う白い翼。

しなやかな曲線は、どこか軽やかに宙を舞うようで、陸と島とを結ぶというよりも、「解き放たれる」ことを象徴しているようだった。

赤い鳥居の列が「天に昇る龍の背」ならば、
白い橋は「海を舞う翼」。

祈りと自由。
静謐と躍動。
元乃隅神社と角島大橋――この二つの風景は、まるで呼応するように、この旅の記憶を鮮やかに彩ってくれた。
この日の道のりは、ただの移動ではなかった。
心に刻まれる「風景の詩」として、赤と白の道が、私たちを導いてくれたのかもしれない。

文・写真:caritabito